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原発関連トピックス

首相「原発事故収束」を宣言 ステップ2達成、廃炉作業へ
産経ニュース2011.12.16 22:24

記者会見で福島第1原発事故に関して「原子炉は冷温停止状態に達し、ステップ2が完了すると宣言」と表明する野田佳彦首相=16日午後、首相官邸(酒巻俊介撮影)

 東京電力福島第1原発事故で野田佳彦首相は16日、「原子炉は冷温停止状態に達し、事故そのものが収束に至ったと判断できる」と記者会見で述べ、事故収束の工程表「ステップ2」の完了を宣言した。今後は避難住民の帰宅や、廃炉に向けた作業が本格的に始まる。

 原子炉が一定の安定状態になることを意味する冷温停止の達成はステップ2の最大目標で、政府は年内達成を掲げていた。

 政府の原子力災害対策本部によると、1〜3号機の原子炉圧力容器下部の温度は約37〜67度(16日現在)と100度を下回った。原発から放出されている放射性物質放射能)の量は毎時約0.6億ベクレルで、事故直後の約1300万分の1まで減少。原発敷地境界の被曝(ひばく)線量は年間0.1ミリシーベルトで、目標の1ミリシーベルト以下を達成した。原子炉の注水が約12時間停止しても敷地境界の被曝線量は1ミリシーベルトを下回ると評価した。

 同本部は「不測の事態が起きても、原発敷地境界の被曝線量が十分低い状態を維持できる」として、「発電所の事故そのものは収束に至った」と結論づけた。

 ステップ2達成は避難した住民の帰宅の条件でもあり、今後、計画的避難区域警戒区域の本格的な見直しが始まる。野田首相は会見で、「避難指示区域の見直しについて政府の考え方を近く示す」と述べた。

 政府は「年間線量が50ミリシーベルト以上で帰宅が困難な区域」「20ミリシーベルト以上50ミリシーベルト未満の居住制限区域」「20ミリシーベルト未満の解除準備区域」−の3区域に、警戒区域を再編する見通し。土地の買い上げも検討されている。

 また、野田首相は除染作業などへの対応について「当面の費用として1兆円を超える額を用意している。作業要員などに来年4月をめどに3万人以上を確保する」と述べた。
福島第1原発:核燃料プールの冷却装置水漏れ…1号機

毎日新聞 2011年12月17日 20時45分 更新:12月17日 23時26分


福島第1原発1号機の現状

 東京電力は17日、福島第1原発1号機の使用済み核燃料プールの冷却装置から水が漏れ、一時的に冷却が停止したと発表した。冷温停止状態の達成が宣言された直後のトラブルだが、松本純原子力・立地本部長代理は「プールは十分冷えている。(冷温停止状態の達成の)判断を急ぎすぎたということではない」と話した。

 トラブルが発生したのは17日午前10時23分。プールの冷却装置から流量の異常を知らせる警報が発生し、自動停止した。作業員が現場を確認したところ、冷却装置の弁が閉まり切っておらず、約0.1立方メートル(100リットル)の水が漏れていた。作業中にだれかが弁に接触し、緩んだ可能性があるという。

 弁は元の位置に戻され、冷却装置の運転は同日午後1時39分に再開した。プールには392本の燃料があるが、水温は13度で停止前と変化はなかった。また、漏れた水は燃料に直接触れない配管を流れており、放射性物質は含まれていない。【神保圭作]
「定義あいまい」「政治的判断」「一里塚」… 福島原発冷温停止宣言で海外反応
産経ニュース 2011.12.17 21:00

記者会見に臨む野田佳彦首相=16日午後、首相官邸(酒巻俊介撮影)

 野田佳彦首相が16日、東京電力福島第1原子力発電所冷温停止を宣言したことについて、米国、欧州、中国のメディアや専門家は一定の評価を与える一方、厳しい見方も示した。

 世界最多の原発を抱える米国のナイズ国務副長官は「回復への重要なステップで非常に喜ばしい」と述べ、日本政府や関係者の努力を評価。今後の廃炉放射性物質の除去作業を支援するため、米企業を参加させたい意向を日本政府に伝えたことを明らかにした。米原発の監督機関である原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長も18日に来日し、現地を視察する。

 一方、ウォールストリート・ジャーナル紙(電子版)も「原発の安定化に向けた一里塚だ」と評価したが、「進展の足取りはおぼつかなく、莫大(ばくだい)な問題が残されている」と指摘。ニューヨーク・タイムズ紙(同)も農業の復興や食品の安全確保には困難が続くとの見方を示した。

 また、AP通信は冷温停止宣言そのものについても、「科学的というよりはむしろ政治的な判断に基づいたものであるとの批判を招いている」と指摘した。

 1993〜99年に国際原子力機関IAEA)の事務次長を務めたスイスの原子力工学専門家、ブルーノ・ペロード氏は産経新聞の取材に、「冷温停止状態の定義があいまいだ。少なくとも核分裂連鎖反応が止まったというだけで、核分裂生成物はすぐに取り除けず、核燃料のエネルギーも残ったままだ」と解説した.
事故後の対応については「複数の原子炉が同時に制御不能となり最初の1〜2カ月は混乱したが、その後は政府も東電もよくやったと思う。事故を免れた福島第2原発は安全対策を強化すべきだ」と提言した。

 一方、日本産生鮮食品や宮城、福島など10都県の食品の輸入規制を続けている中国では、16日の野田首相の記者会見を中国中央テレビが生中継し、「日本の放射能災害処理計画の一里塚」と評したメディアもあった。

 しかし国営新華社通信は「事故対策の進展を国内外にアピールするためのもの」などとする日本国内の報道を引用。日本政府の対応に冷ややかな目を向け、輸入規制を続ける中国政府の対応を正当化するかのようなトーンに終始した。(ワシントン 柿内公輔、ロンドン 木村正人、北京 川越一)