Art Site Horikawa-I

書くことを積み上げ、アート生成に向けての発想・構想力を鍛える。

aw-mlより(黒田オサムさん)

aw-mlでニパフの主宰霜田誠二さんより黒田オサムさんのお話が送信されてきました。私は昨年長野のネオンホールで黒田さんのパフォーマンスを見たことがありました。
黒田さんの2つの詩がとても素晴らしいので転載させていただきます。

[aw-ml]グループの掲示板に投稿があったことを、Yahoo!グループよりお知らせいたします。

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今夜から始まった黒田オサム80歳8時間大学が、面白い。今夜の2時間半は、
昭和6年に桐生市で生まれた黒田さんが10歳の時に父親に赤紙が届き、尋常小
学校を出て運送屋に働きに出て、ひょんな事から共産党に入りアナボル論争を
知り、憧れていた大杉栄の影響で初めてアナーキストに出会って感激して握手
をしたところから、ロシア革命の話しに入り、最後は結局針生一郎氏の話しの
最初のところまで行って時間切れ。

とにかく黒田さんの話しだから細部が細かくて、これはその場に居合わせない
と伝わらない。あっという間の2時間半だった。明日の5時間半は、どこまで
話しがいくのだろうか?

3月下旬から始めた毎週末に東京・大阪・長野で繰り広げた「ニパフまでのニ
パフ」の最後の企画の、この黒田さん80歳記念イベントも明日には終わり、い
よいよ第18回ニパフ'11は5月21日には海外アーティストが到着する。チェル
ノブイリのトラウマのあるベラルーシルーマニアのアーティストは、家族の
反対で来れなくなった。そんな時代だ。ニパフ11の全貌は、追ってお知らせし
ます。「芸術が生きている」ニパフ11。

明日と言うか、もう今日か4月29日は昔の(昭和)天皇誕生日。朝から8時間
大学の続きをやって、午後6時半からお祝いの夜。最後にキンタマー!と叫ん
でもらおう。

黒田さんが二十歳の時に書いたという詩2篇を送ります。ちょっと長いけど。
明日29日、時間ある人は見逃すな。

ニパフ霜田誠二
ーーー
こんな時代だからこそ、このじいさんの話しを聞こう。このじいさんのパフォ
ーマンスを見よう。

「黒田オサム80歳8時間大学」
4月28日(木)夜7時−9時半、
4月29日(金・祝)午前10時ー午前12時半、午後1時半ー午後4時半、

「黒田オサム80歳お祝いの夜」
4月29日(金・祝)午後6時半から9時まで
 第1部(18:30-19:20):黒田オサム映像上映+トーク
 第2部(19:30-20:20):ニパフ・パフォーマンス(霜田誠二、大池公二、寺
尾晴美、大橋範子、関谷泉、広瀬真咲、北山聖子、御須玲央奈
 第3部(20:30-21:00):黒田オサムパ・ソロ・フォーマンス

会場:武蔵野芸能劇場2階小ホール(JR中央線三鷹駅北口徒歩1分、武蔵野市
中町1-15-10、TEL 0422-55-3500)
会費:
 8時間大学:28日(2時間半)一般2,000円(学生1,500円)29日(5時間
半)一般4,000円(学生3,000円)
       全受講(8時間)割引一般5,000円(学生3,500円)
 お祝いの夜:一般2,000円、学生1,500円 (前売200円引き)
予約・問合せ:090-1652-9127(霜田)またはE-mail: nipaf@avis.ne.jp

内容;
 今年3月4日で満80歳になられた黒田オサムさんの話しは面白い。黒田オサ
ムさんは世界中でパフォーマンスを披露し、各地で信じられない程に絶賛され
ているのですが、一緒に旅をするといろいろな話が聞けて、黒田さんのお話は
私達が独占するものではないと感じます。
 黒田さんの80歳記念の本イベント「黒田オサム80歳8時間大学」では、「無
政府主義と革命」「戦後美術とパフォーマンス・アート」「旅と人生」「うた
とおどり」「?最後に」のテーマで8時間に渡る講義をしていただきます。黒
田さんのお話は話芸と言って良い程に私達の心に絶妙にしみ込んできます。
 そしてお祝いの夜では、記念DVD上映+トークとニパフで活動を共にしてい
る若い世代のお祝いのパフォーマンスと黒田さんによるパフォーマンス。黒田
オサム絵画展+写真展も、同時開催します。
 是非この機会に黒田オサムの世界に触れて、深入りしてみて下さい。皆さん
の一生の宝物になると思います。

黒田オサム:1931年3月4日群馬県桐生市生れ。尋常小学校を出てから運送会
社で働く。戦後上京し、山谷で日雇い労働者の傍ら小銭稼ぎの乞食芸を始め、
絵と踊りに熱中する。山谷を拠点に絵描きとして様々な美術運動にも加わり、
多くの人達に会いパフォーマンスを各地で行なった。1998年からニパフに参加
し、ヨーロッパ・アジア・中南米など世界各地でも公演をして絶賛される。今
年1−2月は、インドとバングラデシュの3都市をツアーした。
ーーー
黒田オサム80歳記念DVD (新作)
今年1月から2月にかけてインド・デリーとバングラデシュチッタゴンとダ
ッカで行なわれた、黒田オサム渾身のパフォーマンスの映像をノーカットで収
録しました。映像計60分、2,000円。ケース入り。
ーーー
友よ
この見知らぬ野原に散らばりゆく無数の友よ
今し方 ぼくらは何をしているのか
ぼくら掌に握られていたものは
血に飢えたドスと
石と
棍棒
風化されつくした骨屑と
たった一枚の
鏡と
護符と

友よ
パンを焼く術を忘れているのか
暗黒の寺院の鐘は慌しく揺れる
水晶の十字形は泥沼の底に沈む
だが ぼくらの宇宙はある
歌うべき人人がいないだけだ

血が血を生む
火山は爆発を準備する
だが ぼくらの宇宙は
沈黙の
広がりの中に
まどろみ
夢みる
ゆったりと宇宙は漂白する赤子か

友よ
もうぼくらは戦を止めよう
そして パンを焼く術を学ぼう
全世界の友よ
そうかたくならないで
宇宙のようにのんびりと構えてよいのだよ

遠い神々の鼾が
長閑な春を歌っているのを
君らはごぞんじないのですか
    ☆
夢 破れ
無方の碧空に
飛散する さざれ石の
ちびた 跡 跡
その虚しさよ

煤けた 鍋 血を呼ぶ ホウク
水筒 キャハン
ぱくり と 口を開け 歯を剥き出す 軍靴
薬莢 薬莢 薬莢 薬莢 ・・・・・・・・
なおも 腐爛した肉片
ぴくぴく と 引き攣る

ひとしきり雪が降り
ひとしきり霙が降り
踏付けられ
乱れ
消えて ゆく

激しい白色の閃光
空はスミレ色だったが
ばたばた 倒れ 呻く 黒い影
崩壊 眠るべき理由は何か 惨死 
そして土

どろりと とろけた臓腑 から流れ出た 血液
動かない 流れない へばりついている
焼肴のように切断された脚 脚
もとへ戻らない

頭がある
頭がある
ごろごろと 頭がある
皮をそがれた白い頭がある
空とぼけの
ぽかりと穴のあいた頭がある
無表情(からっぽ)な頭がある
何も求めない頭ばかりがあるが
柘榴にように
泣き叫ぶ頭があった

ぼくらは 燈火を吹き消した
ぼくらは 夜(向日性)の囚われの身となる
ぼくらは 夜の峡谷にずり堕ちてゆく
ぼくらは 真昼に這い登る術を忘却しているのか
ぼうらは 亡霊に憑かれ 脚がない 腕がない 胴がない 頭もない
ぼくらは 己を見いだせぬずたずたの身になっている
ぼくらは ずたずたの身になっても碧空を慕う
ぼくらは 真昼時 ルビー色に燃える太陽(燈台)の意味を知っている
ぼくらは 真昼時 大蒼空をを漂泊する白雲(帆船)の意味を知っている
ぼくらは このコバルト色(憧憬)に輝く真昼の凡ての意味を知っているか
ぼくらは 頭上に消えようとする真昼に這い登る術 忘却しているのである
ぼくらは 道を探ろうとする腕を持っていないのである
ぼくらは 腹這おうとする胴を持っていないのである
ぼくらは 予言しようとする頭を持っていないのである
ぼくらは 帰るべきぼくらを持っていない
ぼくらは 不在
ぼくらは ぼくらではない
ぼくらは 無

分解された黒い影
脚が胴を呼び
胴が頭を呼ぶように
四本指は
たった一本の小指を呼ぶ

肉片 些細な 肉片 の影に群集する 蟻
ひしと食い付く 離れない
いるわ いるわ 蠅 蠅 真黒 どうすることもできない
胴に穿たれた無数の 穴

頭がある
頭がある
ごろごろの頭があるが
妖怪めいた変幻
変わり果てた頭の
ドクロがある
ドクロがある
ごろごろのドクロがある
白い果実のドクロがある

いつしかドクロが砕けた
白い燃差の中
赤い妖花が咲いていた

赤い
妖花
殺人
なおも君らは
へらへら と
笑う

重爆 軽爆 戦闘機 戦車 
大砲 火炎放射器 機関銃 自動小銃
戦艦 巡洋艦 駆逐艦 潜水艦 魚雷艇

弾丸が飛ぶ
銀色の砂漠は
一瞬にしてささくれ
夜空の欠片の山

弾丸 弾丸 弾丸 弾丸 弾丸
弾丸 弾丸 弾丸 弾丸 弾丸
弾丸 弾丸 弾丸 弾丸 弾丸

鉄がいかにして造られ
そして何処へ去ってゆくか
ぼくらは 知っているか
そして 尚もその鉄の意味を
ぼくらは 算術のように解くことができるか
黒い鉄のカラク
鼠捕機のように単純な
殺人装置
鉄 それは 愛すべきチャリーの反対の
野次馬のアドルフにほかならない
ごらん
一塊の鉄を太陽に向けて透かした時
あたかもガラス絵のように影法師が見える
制服制帽の長靴が
弾丸のように表情をもたぬ鉄の精神が
幾何学的な鉤十字となって整列している

それは獣臭の
 ハーケンクロイツ
に ほかならない

ひらひらと舞い降りてきた
一枚の病葉の陰にすら
根気よく待っている殺人装置
君等は食足りた時
赤い妖花となって燃える
    ☆
友よ
この見知らぬ野原に散らばりゆく世界の友よ
ぼくらの掌にあるものを
炉にくべよ
呪われたドスと
石と
棍棒
骨と
歪んだ鏡と
汚れた護符を

友よ
ぼくらは古びた衣裳を捨て
ぼくらの世界を新しくつくり変え
緑の森に神神を招こう

時間は光の早さで通過してゆく
ぼくらの顔は蕩け
銀河系の片隅に
微塵となって消え去る

友よ
同じ世代に生まれきた同志よ
宇宙は広い
ぼくらは そうかたくならないで
もう少しのんびりと構えよう

宇宙は広い
おう!偉大なるグレートマザーよ

      • -

神様のお話
神様はとってもヒョウキンなお方で、子供ように隠れんぼう遊びを楽しんでお
られるようです。ですから、黄金に輝く天上を仰ぎ見ても神様はいらっしゃい
ません。神様は時偶居所を変え、姿をも変えて隠れていらっしゃいます。そし
て私達の発見をお待ちになられていらっしゃるようです。
神様探しは容易ではありません。私達は社会的階層性に馴らされた従来の価値
観で神様を探し求めるからです。私達はサカサマに馴らされてサカサマである
ことに気がつきません。〈上〉と〈下〉をサカサマにしてごらんなさい。この
世で一番偉くない人が一番偉い人よりも偉いと言うことだってありうる筈で
す。大将より二等兵の方が偉いのです。60円のカツ丼より10円のスイトン
の方が偉いと言うことだってありうるのです。社会的価値観を180度変えて
神様をお探しになられてごらんなさい。黄金のに輝く崇敬なる天上に神様がい
らっしゃらないとするなら、その反対の極、地上(ジベタ)に眼をむけてごら
んなさい。神様がいらっしゃるのに相応しくないような汚いジベタの片隅の片
隅の一枚の破れトタンの陰に、私達の足下に跪かされている、貧しい、弱い、
醜い、蔑まされた者がいる筈です。そう、この人達こそ、私達が捜し求めてい
た神様であるかもしれません。いや神様でないとしても神様のもっとも親しい
お友達であることには間違いありません。
誰だ!浮浪者に石を投げつけるのは。彼等こそ神様か神様のお友達であるぞよ!