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原発関連ニュース(6月7日)

大気放出量は77万テラベクレル、倍に修正 地震当日に圧力容器破損、保安院
産経新聞 6月6日(月)20時49分配信
 経済産業省原子力安全・保安院は6日、福島第1原発事故の解析の結果、大気への放射性物質の総放出量は推定77万テラベクレル(テラは1兆)に上ると発表した。4月に事故の深刻度を国際評価尺度(INES)の暫定評価で最悪の「レベル7」に引き上げた際は、推定37万テラベクレルとしており、今回の発表値はその2倍強にあたる。

 総放出量について原子力安全委員会は63万テラベクレルと試算していたが、それも上回る値となった。

 解析結果を反映させた政府報告書を、今月下旬にウィーンで開かれる国際原子力機関IAEA)閣僚級会合に提出する。

 保安院の解析は、1〜3号機すべてで炉心溶融が起きたと推定。溶け落ちた燃料によって原子炉圧力容器が破損した時刻は、1号機は東電の解析より10時間早い、地震発生から約5時間後の3月11日午後8時ごろ、2号機は29時間早い14日午後10時50分ごろとした。事故の進行が東電の解析よりも大幅に速かったことを示す結果となった。

 保安院は大気への推定放出量が2倍強になった理由を「2号機からの漏洩(ろうえい)で過小評価があった」と説明。さらに、事故の進行が東電の解析と異なることについては、「(核燃料が発する)崩壊熱などの条件設定に違いがあり、詳細を実態に近い形に当てはめたため」とした。

 3号機の圧力容器破損に関しては保安院は14日午後10時10分ごろと推定しており、東電の解析より13時間遅くなっている。

 東電は5月24日、1〜3号機で炉心溶融が起きているとみられるとする解析結果を公表していた。

 また、保安院は6日、東電が同原発の耐震安全性の確認で「活断層ではない」としていた「湯ノ岳断層」(福島県いわき市、長さ約13・5キロ)が、東日本大震災以降に地表に出現したと発表した。保安院によると、同断層は同原発から南西約50キロにある。4月11日の同県浜通り震源とする地震で活動したとみられる。
ドイツ、国内全原発の廃棄法案を閣議決定
(2011年6月6日21時30分 読売新聞)
 【ベルリン=三好範英】ドイツのメルケル政権は6日、2022年末までにドイツ国内の全原発を廃止することを定めた原子力法改正案を含む10の法案を閣議決定した。

 法案によると、福島第一原発事故を受けて暫定的に停止している7基と、それ以前から事故のため稼働を停止していた1基の計8基は、このまま稼働を停止する。さらに15、17、19年に各1基を、21年と22年に各3基を、それぞれ廃止する。

 ただ、冬場の電力不足に備え、現在稼働停止中の原発のうち1基を、稼働再開可能な「待機状態」に当面置くかどうかについては、検討を加えることにした。

 また、閣議では再生可能エネルギー法改正案などの関連法案も決定。風力や太陽光など再生可能エネルギーの普及、送電線網の建設促進、エネルギー効率の高い住居の建設促進などを図る方針を決めた。

核燃料、圧力容器貫通の可能性…政府が報告
(2011年6月7日14時30分 読売新聞)
福島原発東京電力福島第一原子力発電所の事故について、政府が国際原子力機関IAEA)に提出する報告書の全容が7日明らかになった。

 報告書は、破損した1〜3号機の原子炉圧力容器の底部から溶融した核燃料が漏れ出し、格納容器内に堆積している可能性を指摘した。

 格納容器まで溶けた核燃料が落下する現象は「メルトスルー」(原子炉貫通)と呼ばれ、「メルトダウン」(炉心溶融)を上回る最悪の事象。これまで圧力容器底部で、制御棒の貫通部などが破損し、高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏出したことは明らかになっていたが、政府が公式にメルトスルーの可能性を認めたのは初めて。

 また報告書は、原子力安全規制の行政組織が縦割りで、国民の安全を確保する責任が不明確だったと認め、原子力安全・保安院経済産業省から独立させ、原子力安全委員会なども含めて、体制を抜本的に見直す方針なども打ち出した。
福島第1原発IAEAへ報告書「保安院独立」を明記
毎日新聞 2011年6月7日 15時00分(最終更新 6月7日 15時03分)
 東京電力福島第1原発事故について、日本政府が国際原子力機関IAEA)閣僚会議に提出する報告書の概要が7日明らかになった。原子力安全にかかわる行政組織が各省庁にまたがり、「国民の安全を確保する責任の所在が不明確だった」と指摘したうえで、原子力安全・保安院経済産業省から分離独立させることを明記。電力会社に対しては、炉心損傷などの「過酷事故」に至らないための対策を法的に義務づけるなど、「原子力安全対策の根本的な見直しが不可避」と結論づけた。同日、官邸で開かれる原子力災害対策本部会議に報告される。

 報告書は13章で構成。「世界の原発の安全性に懸念をもたらす結果となったことを反省し、世界に放射性物質の放出で不安を与えた」と事故について世界に向けて陳謝したうえで、▽過酷事故の防止策▽原子力事故への対応−−など28項目の教訓を列挙した。

 このうち、環境モニタリングの強化では、現在は事故時の環境中の放射線量の測定が関係自治体に任され適切な対応ができなかったと指摘。今後は国が責任を持ってモニタリングを実施するなど見直しを打ち出した。

 政府が運用する緊急時迅速放射能影響予測システム「SPEEDI」のデータ公表が遅れ、十分に活用されなかったと認め、「今後は当初から公開する」と明記した。

 過酷事故を防ぐための電源や冷却機能の確保については、「整備の内容に厳格さを欠いた」と指摘。今後は法的に義務づけ、対策を徹底するとした。

 複数の原子炉で設備を共有し、それらの間隔が小さかったことが緊急対応に影響したことを反省。対策として、号機ごとに事故対応ができる体制を整備するとした。

 これらを踏まえ「重大事故対策の強化のための研究を国際協力の下で推進し、世界の原子力安全の向上につなげる」と宣言している。この報告書の検証については、政府の「事故調査・検証委員会」での論議にゆだねるとしている。【足立旬子】