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原発関連ニュース(6月26日)

全国の放射能濃度一覧
http://atmc.jp/
警戒区域縮小検討へ 政府、工程表「1」達成条件 お盆明け帰宅目指す 
(福島民報2011/06/25 10:23)
 東京電力福島第一原発事故で政府は24日までに、原子炉の安定的な冷却を目標にした事故収束工程表の「ステップ1」を7月中旬までに達成した場合、住民避難が続く福島県の「警戒区域」の縮小を検討する方針を固めた。放射線量が避難基準を下回るエリアがあるためで、早ければお盆ごろにも一部住民の帰宅を実現させたい考えだ。しかし、縮小する際の線引きや警備体制の強化など課題は山積している。「緊急時避難準備区域」については撤廃を検討する。
 警戒区域の縮小は、福島第一原発の原子炉と使用済み燃料プールの安定的な冷却、放射線量低減を目標にした工程表のステップ1の達成が前提となる。政府は第一原発で再度、重大なトラブルが起きる可能性は低いと判断した場合、文部科学省が今月から警戒区域内の3千カ所で行う詳細な放射線量調査の結果などを基に解除するエリアを決める。
 同省がこれまで実施してきた定例調査では、南相馬市小高区、田村市都路町、楢葉町の一部などで空間線量が、政府が避難の目安としている毎時3.0マイクロシーベルト(年間積算線量20ミリシーベルト)を下回っている。
 警戒区域は、福島第一原発で再度、水素爆発事故などが発生することを想定し、半径20キロの同心円状に設定された。原発周辺で毎時約90マイクロシーベルト放射線量を測定している一方で、警戒区域外の地点より線量が低い地点もあり、関係市町村は区域設定の見直しを政府に強く要望してきた。
 ただ、同心円状で設定していた区域を見直す場合、同じ地域でも帰宅できる所と、できない所が出る可能性があり、線引きが難しくなる。複雑なエリア設定になれば、警察による警備体制を増強する必要もある。さらに、区域内は東日本大震災で、道路や河川に大きな被害が出ており、住民生活の安全確保が大きな課題となる。
 警戒区域は9市町村にまたがり、平成22年の国勢調査時点での人口は計7万8257人(2万6534世帯)。
 東京電力福島第一原発から半径20〜30キロの緊急時避難準備区域は、原発で再び大きな事故が発生した場合に備えて設定された。
 区域撤廃は、工程表のステップ1が確実に達成され、区域内の安全性が十分、確保されることが条件となる。
東京電力ページです
http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2011/htmldata/bi1586-j.pdf

被ばく線量超え授業回避を 郡山の父母が仮処分申請 
河北新報 2011年06月25日土曜日
 福島県郡山市の小中学校に通う児童と生徒計14人の父母が24日、福島第1原発事故による放射線が子どもの健康に影響を与えるとして、同市に対し、1年間の積算被ばく線量が1ミリシーベルト以上の場所で授業をしないよう求める仮処分を福島地裁郡山支部に申し立てた。
 申立書によると、子どもたちが通う7校の放射線量を試算すると、1年間で3.80〜6.67ミリシーベルトに達するという。文部科学省が公表した3月12日〜5月25日の郡山市富田町のデータから富田町の年間積算線量を2.9ミリシーベルトと推計。7校の1時間当たりの線量は富田町の1.3〜2.3倍になっていることから、それぞれ年間の積算線量を計算した。
 父母らは国際放射線防護委員会(ICRP)が一般人の線量限度として定めている年間1ミリシーベルトを大きく上回り、危険だと主張している。
 申し立て後、郡山市内で記者会見した弁護団の井戸謙一弁護士(滋賀弁護士会)は「郡山だけでなく、福島県内すべての子どもたちが安全な場所で授業を受けられるようになることが目的」と語った。
 弁護団の試算によると、福島県内の市部の小中学校計266校のうち、年間の積算線量が1ミリシーベルトを超えないのは5校だけだといい、子どもたちの安全を確保するためには「集団疎開」が必要だと訴えた。さらに「息子は6月上旬まで外で部活動をしていた。息子を守りたくて申立人になった」という内容の母親の手紙も紹介した。
 申し立てが認められるかどうかは、子どもたちの危険の程度をどう判断するかがポイント。認められた場合、郡山市内だけでなく、県内各地に波及する可能性がある。
 仮処分申し立てについて、原正夫市長は「内容を把握していないのでコメントを控える」との談話を出した。
福島原発、一進一退の汚染水処理 梅雨の増水も懸念
時間との闘い 月内本稼働は予断許さず
(1/2ページ)日本経済新聞 2011/6/25 0:04

 東京電力福島第1原子力発電所の事故収束に不可欠となる高濃度汚染水の処理が一進一退を続けている。6月初めの試験開始から約3週間。不具合の多発で依然として連続運転できず、浄化した汚染水を原子炉の冷却水に再利用する計画は進まない。東電は6月末までにフル稼働を目指すが汚染水はあふれ出す寸前。梅雨の雨による増水も懸念され時間との闘いとなる。

福島第1原発の汚染水処理システムの主なトラブル
6月6日 米仏の装置の動きを確認
10日 米装置で水漏れが発生
14〜15日 米仏の装置に低濃度汚染水を流し試験運転を開始
16日 米装置で水漏れが発生
17日夜 米仏の装置をつなぎ高濃度汚染水の処理を開始、1時間半後に停止
18日未明 米装置の不具合で停止
21日午前 試験運転中に仏装置のポンプが自動停止
22日 米装置がうまく機能せず試験運転を停止、23日再開
月末メド 循環注水冷却を開始(予定)
7月5日ごろ まったく稼働しないと地下水や海に流れ出すおそれ


 汚染水処理システムの柱は米キュリオンのセシウム除去装置、仏アレバの除染装置の2つ。油や塩分を取り除く装置をつないで使う。6月5日に建設を終え、翌日から真水を入れて実際に動くか試験を始めた。

 しかし10日にはキュリオンの装置の弁など十数カ所で水漏れが見つかり中断。修理後に低濃度汚染水で試験を再開したが16日にも水漏れが起きた。翌日ようやく高濃度汚染水を通したがキュリオンの装置周辺の放射線量が異常に高く、運転を停止。その後もアレバの装置のポンプなどでトラブルが続き、本格運転は既に10日ほど遅れている。

 処理した水はタンクにためているが、最終的には原子炉に送り込んで冷却水として再利用する「循環注水冷却」を計画。これができて初めて安定的な「冷温停止」へ向け前進する。

キュリオンのジョン・レイモント最高経営責任者(CEO)は報道資料で「米スリーマイル島原発事故では汚染水浄化の準備に18カ月かかった」と説明。今回は設計完了から5週間で完成させる強行軍となった。

米キュリオンのセシウム除去装置で水漏れが起きた=東京電力提供
 これほど急いだのは、汚染水があふれ出す差し迫った危険があるためだ。汚染水の合計は既に約11万トン。原子炉に入れる冷却水が損傷部などから漏れて増え続けており、年末までに20万トンに達する見込みだ。
 処理システムが本格稼働すれば1日に1200トンを浄化でき、年内に汚染水はすべてなくなる計算。しかし、これまで実際に処理できたのは2489トンどまり。3号機のトレンチ(坑道)の汚染水は地下水位まで14.5センチに達した。

 東電は空き場所を探しては汚染水を移送しているが、システムが動かないと7月5日ごろにあふれ出す計算。地下水に入り込む可能性もあるため、地下30メートルまでコンクリート壁を埋め込み一帯を取り囲む「遮水壁」の建設計画もある。

 梅雨の大雨も心配だ。100ミリの雨が降ると2、3号機のトレンチの水位は52〜68ミリ上昇するという。政府・東電統合対策室事務局長の細野豪志首相補佐官は「遮水壁設置の緊急性は極めて高い」というが設計は遅れている。東電は「およそ1000億円」と見込む建設費の負担に及び腰だ。政府も支援には消極的で着工のメドはたっていない。