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原発関連ニュース

東京都、独自の電力政策で“第2東電”目指す
産經新聞 2011/11/24 00:03

 東京電力福島第1原発事故後の電力不安を受け、東京都が100万キロワット級天然ガス発電所の都内新設を提唱するなど、国が主導してきた電力政策への“物言い”を強めている。資金面など問題は多いが、首都圏の産業振興や都市整備に直接関わる都が自ら課題を洗い出すことで「東京発の環境エネルギー戦略を国に提起する」(石原慎太郎知事)狙いだ。(今村義丈)
 ◆“第2東電”作る?

 「東京で第2東電を作るしかないかもしれない」

 都の天然ガス発電所設置プロジェクトチーム(PT)リーダーで都副知事の猪瀬直樹氏は激しい言葉で危機感をあらわす。

 PTが想定するのはガスと蒸気のタービンを組み合わせた、コンバインドサイクル発電の発電所だ。天然ガスは石油よりCO2排出が少なく埋蔵量も豊富。2種類のタービンを同時に回すため発電効率も50%以上と高い。あくまで民間主体を想定し、都は「国に先んじてどんな規制があるかを探す」ことで旗振り役となる考えだ。

 PTでは、9月にガスパイプラインとの距離などから、東京湾内の中央防波堤埋め立て地など候補地5カ所を選定。付近を飛ぶ羽田空港発着便に発電所排気が影響しないことを確認したほか、政府に「電力政策の議論の場で最大の電力需要地の意見を聞いてほしい」と注文を付けた。

 ◆官民連携ファンド

 発電所新設と同時に都が着目するのは、既存の火力発電所の更新と、資金調達のための「官民連携ファンド」創設だ。

 原発再開がままならないなか東電は停止中の火力を再開したが、稼働約40年の老朽施設もある。こうした老朽火力は東京湾に7カ所、約1千万キロワット分が集中する。更新は新設より進めやすいが、巨額の賠償にあえぐ東電に資金余力はないのが実情だ。

 政府の第三者委員会「東電経営・財務調査委員会」も、10月の報告で「リプレース(更新)を進めるべきだ」とし、電力を卸売りしている独立発電事業者による入札を提案。同委のヒアリングに複数業者が積極的な姿勢を示したという。

 ◆新たな送電網計画

 都は首都圏の首長や経済界にも問題を投げかける。日本商工会議所の岡村正会頭が「発電所のファンドは魅力的な提案」と賛同したほか、今月22日には首都圏9都県市首脳で国に対し、火力発電所更新推進やファンド創設、電力事業への参入障壁解消を提言した。

 都の技術系職員で構成する「都技術会議」の「地域分散型発電検討ワーキンググループ」は21日、臨海副都心地区で熱供給システムを発送電に拡大し、数年後には東電とは別の送電網を構築する計画を提示したばかり。都庁舎では来年度、東電以外から夏季ピーク時の約4分の1となる3千キロワットを購入することを決めるなど、“脱東電”の動きを加速させている。