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原発関連ニュース

<国会事故調>菅氏「国の想定不十分」 責任者として陳謝
毎日新聞 5月28日(月)21時24分配信


国会の東京電力福島原発事故調査委員会で参考人として招致され発言する菅直人前首相=参院議員会館で2012年5月28日午後3時44分、武市公孝撮影
 東京電力福島第1原発事故を検証する国会の事故調査委員会(国会事故調、黒川清委員長)は28日、菅直人前首相を参考人として招致した。菅氏は原発事故を想定した政府の危機管理体制について「原子力災害対策特別措置法はシビアアクシデント(過酷事故)に対応できていなかった。事故想定が不十分だった」と不備を指摘。「事故は国策で続けられた原発によって引き起こされた。最大の責任は国にある。国の責任者として事故を止められなかったことを改めておわびする」と陳謝した。

【地元の反応は】国会事故調:「今さら謝られても」福島の避難者、冷めた目

 聴取は参院議員会館の講堂で、予定の2時間を約50分オーバーして行われた。これまでも政府や民間の事故調が菅氏の聴取を非公開で行っているが、公開の聴取は初めて。

 菅氏は首相の立場を超えて事故対応の細部に口を出したとして「過剰介入」との批判を受けているが、聴取では「原災法は地震原発事故は別々に起きると想定している。想定が極めて不十分だったため、やらざるを得ず、いろいろやった。それが本来の姿とは思っていない」と説明。政府・東電事故対策統合本部の設置など超法規的な対応をとったことへの理解を求めた。

 事故発生翌日の現地視察も「現場を混乱させた」などと批判されたが、菅氏は原子力安全・保安院や東電から「根本的な状況説明は残念ながらなかった」と反論。「状況が把握できるのではないかと考えて視察に行くことを決めた。現場の考え方、見方を知る上で、極めて大きなことだった」と意義を強調した。特に原子力安全・保安院について「首相や閣僚に原子力の専門家がならないという前提で、きちんと状況把握や対策案を提示できる組織でなければならない。それが不十分だった」と指摘した。

 1号機への海水注入中断を指示したとされる問題では「淡水を海水に替えたら、再臨界が起きるわけではないのは知っていた」と否定。当時、首相官邸に常駐していた東電の武黒一郎フェローが「首相の了解がない」と第1原発吉田昌郎所長に海水注入の中断を指示しており、菅氏は「原子力のプロ中のプロである武黒氏がなぜ注水を止めろと言ったのか、率直に言って理解できない」と述べた。

 原子力緊急事態宣言の遅れについては「もっと早ければという指摘は受け止めるが、緊急対策室は既に動いており、結果的に支障はなかった」と釈明。17日の聴取で「首相の理解を得るのに時間がかかった」とした海江田万里経済産業相の見解と食い違った。

 国会事故調は枝野幸男官房長官(現経産相)らの聴取を終えており、6月中の最終報告を目指す。【高塚保、岡崎大輔】

 ◇国会事故調での菅氏の主な発言

・事故の最大の責任は国にある。国の責任者として事故を止められなかったことをおわびする

原子力災害対策特別措置法はシビアアクシデント(過酷事故)に対応できていなかった。事故想定が不十分だった

原子力安全・保安院は、きちんと状況把握や対策案を提示できる組織でなければならないが不十分だった

原発を視察したのは、現場の状況を把握できるのではないかと考えたため

・海水注入の中断指示は私の意向とは全く違う

原子力緊急事態宣言の発令はもっと早ければとの指摘は受け止めるが、結果的に支障はなかった