Art Site Horikawa-I

書くことを積み上げ、アート生成に向けての発想・構想力を鍛える。

東京へ(第17回アート・スタディーズ 特別編の感想)

一昨日の東京往復の最後の日程でディレクター・彦坂尚嘉からの案内メールのあった『第17回アート・スタディーズ/特別編・批評』へ1時間半くらい顔を出してきました。






以下は案内メールの転載です。              
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レクチャー&シンポジウム
第17回アート・スタディーズ 特別編 
1970年代批評の亀裂をめぐって 

【美術】テーマ 戦後美術批評の解体
 
ゲスト講師  
 
 藤枝 晃雄(美術評論家、武蔵野美術大学名誉教授)
 
【建築テーマ】 神代雄一郎の建築批評断筆をめぐって 

ゲスト講師   

 倉方 俊輔(建築史家、西日本工業大学デザイン学部
       建築学科准教授)

1975年のアメリカのベトナム敗戦を契機に文化が根本的に変わりま
す。現代音楽史ですと『前衛の停滞期』という状態になりますが、その
本質は《近代》というものの第1回目の終焉であったと言うべきです。
(第2回目の終焉が1991年のソヴィエト崩壊です。)
1975年を契機に現代美術におけるモダンアートの運動は終わり、それに
伴って、モダン美術批評もまた解体されて行ったのです。日本の現代美
術界では、藤枝晃雄氏を軸に激烈な論争が多発します。そして事実上、
雑誌『美術批評』(1951〜57年)
から始まった古い美術批評が終わります。

一方建築批評界では、神代雄一郎の巨大建築への批判が起きて、これを
めぐる論争は神代雄一郎の断筆へと結果します。現在から見ると、現在
の建築の巨大化という現実へと変貌して行く時代において、ある意味で
建築の死と批評の死があったという視点でみることもできる事件であっ
たのです。
この激動の1970年代の批評問題は、しかし時代の中で忘れられてい
ます。アートスタディーズでは、あらためて特別編を組んで、美術批評
と建築批評の《死》の洗い直しを試みたいと思います。
  

◆討議パネリスト

暮沢剛巳(文化批評、美術評論家
◇ 伊藤憲夫
(元『美術手帖』編集長、多摩美術大学大学史編纂室長)
◇ 新堀 学
(建築家、NPO地域再創生プログラム副理事長)
◇ 橋本純(編集者)
藤原えりみ(美術ジャーナリスト)
◇南泰裕(建築家、国士舘大学准教授)

◆司会
彦坂尚嘉(アート・スタディーズ ディレクター)

◆年表作成
橘川英規(美術ドキュメンタリスト)
◆日時:2010年9月13日(月)
17:30開場、18:00開始、21:00終
了、終了後懇親会(別会場)
◆会場:INAGINZA 8Fセミナールーム
(東京都中央区京橋3−6−18/地下鉄銀座線京橋駅
 2番出口徒歩2分)
(当日連絡先は090−1212−4415 伊東)
◆定員:60名(申込み先着順)
◆参加費:500円(懇親会参加費は別途)
◆お申し込み・お問い合わせは
氏名、住所、所属、連絡先、予約人数を明記の上、
下記e-mailア ドレスへ
art_studies2004@yahoo.co.jp
詳細情報はこちら
http://artstudy.exblog.jp/
◆主催 アート・スタディーズ実行委員会
◆共催 リノベーション・スタディーズ委員会
◆後援 毎日新聞社
    日本建築学
    日本美術情報センター

感想

6時の開会から7時半くらいまでに古田さんと会場にいました。一般参加者はおよそ20名で計30名くらい。

配布された年表資料縦軸は1970年-1979年で横の項目は美術の動向、美術と建築、美術館の開館、建築の動向、主な建築作品、海外の動向、文化動向、社会動向というもの。

最初の司会の彦坂さんの口上の骨子は「1970年代はどのような時代であったか」でインディックス的に言えば、案内メールに要約されるものであったと言えます。
1975年に米国がベトナム戦争で敗退。その後のアメリカ社会の混迷の動きのモデルとして提示されたのが「パンク・ロック」(絶望的なことば)や映画の「ランボー」(敗残兵の物語)でした。
以下私のメモより。

彦坂の批評家・作家デビューについて。
1968年学生時代の作品を高松次郎が認めてくれた。1970年デザイン批評12での「李禹煥批判」。1972年「現代美術の50年」年表の作成。1972年10月BTの紙面開放計画など。

藤枝さんの話しを初めて聞きました。

東野芳明の「デュシャン論」は読むに値する。
中原佑介は反芸術、メタ・アートの分析批評に貢献した。
1970年少し前頃の美術の高松次郎や関根伸夫などのトリックアートの動向。ポップアートと関根美夫のソロバン作品の類似。
スライド投影。
オルデンバークの穴堀と関根伸夫の「位相・大地」。クネリスと李さんの綿と鉄板を使った作品。李さんの割れたガラスの上に石を置いた作品。
視点としては1969年芸術新潮12月号の「日本の亜流に支えられた栄光」と同じものがありました。
1970年以降?反芸術が一般化し美術批評が解体。どう書いたら良いか分からなくなって行く。
結びの言葉として言われた「政治的に安定している作品は面白くない」が印象的。

藤枝さんの話しが終わって建築の話しに移った段階で時間が来たので退出しました。

この次期の文献資料は揃っているので学び直してみたいと思う。
11月に私のこの頃に焦点を当てた個展も地元で行なう事になったのでよい機会です。