Art Site Horikawa-I

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原発問題(5月19日)

1.産經新聞より

緩む官邸、失言3連発 首相は住民要求を「突き上げ」、官房参与は「米要求で汚染水放出」
産經新聞(2011.5.19 00:49)
 菅直人首相やその周辺から次々と失言や不用意な言葉が飛び出している。
 首相は18日、計画的避難区域に指定された福島県飯舘村議会の要望を受けた際、「皆さんも議員として地元の有権者の皆さんから突き上げというか、大変な要請も受けていると思う」と述べた。「突き上げる」という言葉には、下級者による上級者への圧力という意味がある。自身が国会等で日々突き上げを受けているため、思わず不謹慎な「本音」を漏らしてしまったようだ。

 一方、劇作家の平田オリザ内閣官房参与がソウル市内の講演で、福島第1原発事故対応で汚染水を海に放出した原因が、米政府からの強い要請だったと発言していたことが同日、分かった。枝野幸男官房長官は対応に追われ、事故対策統合本部事務局長の細野豪志首相補佐官は「日本の判断で米国からの要請は一切ない」と反論。その後「平田氏が発言を勘違いして訂正したと聞いた」と述べた。

 平田氏は17日の講演で「理解いただきたいのは、流された(汚染)水は非常に低濃度で、量も少ない。米政府からの強い要請で流れた」と発言していた。

 また、馬淵澄夫首相補佐官原子力発電所問題担当)が原発事故について「原子炉の火は神様の火で、手がつけられない」と述べていたことも18日、分かった。証言したのは国際ジャーナリストの日高義樹氏で、4月12日に都内で開かれた会合で馬淵氏と同席したと説明。その際、馬淵氏は原発事故について「秘密のことが多くてほとんど何も語れない」と話した上で、「原子炉の火は神様の火」発言をしたという。

 馬淵氏は「かような発言はしていない」と否定。馬淵氏の事務所は「難題に立ち向かい解決に向け全力を注いでいることを伝えた。話の中で高村薫氏の著書『神の火』について言及したことを短絡的にとらえられたものと思い、心外だ」と回答した。

2.福島民報より

避難者 不信募らす 原発事故工程表 具体的内容示されず 
 政府が17日発表した原発被災者支援の工程表は、不安を抱えながら先が見えない生活を送る県民にとって安心材料にはほど遠い内容だった。避難解除の時期や具体的な支援内容は示されず、実効性を疑問視する声も。東京電力が改定した原発事故収束に向けた工程表には大きな前進はみられず、避難住民はいら立ちを募らせた。
 「本当に払ってもらえるの?」。計画的避難区域飯舘村から福島市の国家公務員住宅に避難したばかりの会社員大内育恵さん(43)は17日、子どもをあやしながら首をかしげた。子ども7人を抱え、避難後も一日に生まれたばかりの六男の世話に追われる。新たな生活に出費がかさむばかりだ。
 工程表では、原発事故の損害賠償の全額支払いが今秋にも開始する方針が示された。だが、次々と原発事故の悪い情報が明らかになる中、「すんなりと計画通りに支払いが進むとは思えない」と不安を口にした。
 浪江町から二本松市岳温泉の旅館に避難している主婦住吉由規美さん(32)は「もっと早く、できれば夏までに支払ってほしい」と願う。夫誠さん(32)はダンプカー運転手だったが、震災の影響で職を失った。「失業保険をもらっているが、厳しい生活だ」と切実な表情を浮かべた。
 「事故前のように農業ができる環境に戻してほしい」。郡山市で避難生活を送る農業坂本勝利さん(73)は富岡町に水田約4ヘクタール、苗木畑約1.5ヘクタールなどを持つ。55年間、祖父の代から受け継いだ土地を守ってきた。工程表に入った土壌対策の計画にも「どんな対策が効果的かが見えない。自分の農地は今、どんな状態になっているのか不安でたまらない」と明かした。
 雇用対策が盛り込まれたが、いわき市で避難所暮らしをする黒田道弘さん(70)は「何をしてくれるのかが問題だ」と指摘した。広野町林業関係の会社を経営している。従業員3人の給料は全額ではないが、払い続けている。しかし、いつまで持ちこたえられるか分からない。
 会社が所有する重機はすべて福島第一原発から20キロ圏内に置いてきた。「重機さえあれば仕事が始められる。事業に必要な物の持ち出しなど、細かい部分に配慮して支援すべきだ」と訴えた。
 健康調査への注文も。福島市の避難所に身を寄せる南相馬市原町区の会社員荒有加里さん(34)は1歳と6歳の息子の健康への影響が心配で自宅に戻れないでいる。「子どもには将来がある。しっかりと調査してほしい。体内被ばくの有無も調べるべきだ」と求めた。

■東電に疑問、不満 事故収束工程表改定

 東京電力が改定した福島第一原発事故収束に向けた工程表について、避難者から疑問や不満の声が上がった。
 会津若松市に避難する大熊町の臨時職員佐藤広人さん(35)は「1号機の全炉心溶融が明らかになったのに、目標の6〜9カ月が変わらないのはおかしい」と疑問を投げ掛け、会津美里町に避難する楢葉町の無職大和田信さん(55)は「収束への進展が全く感じられない」と切り捨てた。
 一方、二本松市に避難している浪江町の会社員飯村昇平さん(25)は「収束目標の期間が延びずほっとした」と安心した様子。郡山市に避難する富岡町の無職筒井康弘さん(65)は「一日も早い収束を願い、原発で働く東電社員や協力会社の社員を応援したい」と話した。

■避難者の声 早く戻りたい/全てを返せ

▼伊藤 健一さん 33(大熊町会津若松市に避難) 避難生活が続き体調にやや不安があるので一刻も早く戻りたい。小学生の子どもの健康も気に掛かる。
▼吉田 春勝さん 78(川内村郡山市に避難) 原発収束までの期間は変わらずほっとしているが、6カ月以上の避難は長い。原発の状態にも不安が残る。
▼豊島 秋子さん 70(広野町いわき市に避難) 簡単に収束するわけはなく、工程表は信じない。すでに汚染はされている。東京電力には全てを返してほしい。
▼紺野 文子さん 44(葛尾村会津坂下町に避難) 仮設住宅の見通しが立ち、落ち着いて暮らせる。小学生と中学生の娘がいるので放射性物質の心配はある。
▼佐藤 美紗子さん 69(田村市都路町、同市船引町に避難) 一番知りたいのは、いつ戻れるのか。避難生活がこんなに長引くとは想像もしなかった。
▼渡辺 貞雄さん 63(田村市都路町、同市船引町に避難) 原発事故がそんなに簡単に収束できるのか。また避難させられるのは勘弁してほしい。

【写真】原発事故への対応と避難住民への支援策の工程表を伝えるテレビニュースに見入る避難者=17日午後7時10分ごろ、福島市・あづま総合体育館

(2011/05/18 09:29)