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大震災関連トピックス

万里の長城」防潮堤、さらに高くして再建

被災前の田老地区の防潮堤。2・5キロにわたって築かれた高さ10メートルの堤防を超えて津波が押し寄せた(国土交通省釜石港湾事務所提供)

津波で破壊された田老地区の防潮堤。岩手県宮古市で(2011年4月7日)
 「万里の長城」と言われながら、東日本大震災津波で壊れた岩手県宮古市田老地区の巨大防潮堤の高さを、県がこれまでの10メートルからさらに4・7メートル高くし、14・7メートルとする方針であることがわかった。

 5年計画で建設する。今回の震災で津波は高さ16・3メートルに及んだが、宮古市は、避難路などを整備し、防潮堤だけに頼らずに、多重防災型の街づくりを進めるという。

 田老地区では、明治三陸地震(1896年)に続き、昭和三陸地震(1933年)の津波でも多数の犠牲者が出た。このため、昭和三陸地震の翌34年から、高さ10メートルの防潮堤建設に着手。44年後の78年、総延長約2・4キロにわたる二重構造の防潮堤が完成した。この間の60年のチリ地震では、一部完成していた堤のおかげで、犠牲者が出なかったという。

 しかし、今回の津波は、海側の防潮堤528メートルを土台から崩壊させた。陸側の防潮堤は壊れなかったが、津波が乗り越え、田老地区では死者179人、行方不明者6人を出した。

 同地区で過去最大級とされるのは慶長三陸地震(1611年)で、津波の高さ21メートルという記録もある。県はこうした津波の「発生頻度は低い」と判断。明治三陸津波の高さ14・6メートル)や昭和三陸(同10・1メートル)など「数十年から百数十年に一度発生する地震」を防ぐため、海側の防潮堤の高さを14・7メートルとした。

(2011年10月19日17時27分 読売新聞)