Art Site Horikawa-I

書くことを積み上げ、アート生成に向けての発想・構想力を鍛える。

大地の芸術祭09に向けて

今年の大地の芸術祭09に向けて、2007年秋にに応募した作品の企画書(一部要約)である。採用されることが分かったのが昨年の2月。応募後1年半を経て、今その実現に向けて具体的な一歩が始まった。

1 作品タイトル
「Sky Catcher 09 」

2 作品についての考え

 2005年の8月に自宅スタジオ&ギャラリーを開設するにあたり50平方メートルくらいある庭に野外作品を設置しようと考えた。庭は周りが住宅に囲まれており、自ずと視線は頭上に広がる空に向いて行った。そこで、川西や金沢のタレルの作品にちなんだ「レンタル・タレル」という作品の構想がまとまった。その構想は構想だけに終わったが、そこから空を見上げる視線を逆立させ、鏡を使って空を写し、見下げて楽しむ作品を思い付いた。
 最初は、鏡面が60cm×90cmの作品をつくって、これを庭に設置した。(過去作例1)これが、近所のお年寄りにも共感、支持を得たことに意味の広がりが感じられた。その次に第3回弥彦野外アート展で鏡面が90cm×90cmの作品を発表した。(過去作例1)ここでも沢山の共感、支持を得る作品となった。昨年は富山の神通峡美術展に鏡面が100cm×100cmのものを4点組で並べる作品で出品した。今年(2007)の第4回弥彦野外アート展(9/30〜10/14)には、円形の鏡による作品を出品した。
 
 空は人間が肉眼で見ることのできる身の周りの自然の中で、最大のものである。しかし、大きすぎるためにその大きさをじっくりと実感する機会は少ない。
 この作品では空の一部を鏡で切り取ることで、空がより一層高く(深く)、美しく見えてくる。鏡面の空の像を見た後に、実在の空を見上げ、そしてそれを繰り返す。そのような交互する視線により空が一層大きく感じられるように感覚が作用していく。
 この作品は「空・そら」を捉えようとする作品である。空という大世界を鏡という小世界で捉える作品である。
 空は気象そのものの顔である.大地の恵み、即ち人間の生活も空の顔色で一喜一憂している。刻々と変化を続ける気象の中で空の一部を鏡に写して見ていると、見飽きることがない。
 大地の芸術祭の会期中は晴天が多い。その青空に白い夏雲が映って、そこに鳥や蝶、トンボなどが横切ってくれたら最高である。
 また、「空」を「空即是色」の「くう」ということで考えたり円形の鏡が「三種の神器」の一つということを考えていくと、この作品の持つ意味の広がりや奥行きが更にでてくる。
 応募作品について

 鏡本体は2m×3mのものを3枚並べて3m×6mのサイズで構想している。それを十日町や津南の里山や住居、空家、駐車スペースなどの平地、平面を利用したり、デッキを特設して設置することを考えている。見積り上で、デッキを8m×8mと設定している。
 その上を車いすで安全に移動し鑑賞できるように段差をなくし、バリアフリー仕様で設置したいと考えている。
 用いる鏡のサイズにより本体の製作費用は決まってくるが、鑑賞用のデッキ部分の工事費用は場所の条件によって差が大きく出てくる。なお、鏡の設置角度は固定せずに多目的に利用できるように可動性を持たせている。デッキを特設して鏡本体を設置した場合は、鑑賞のためだけでなく各種のイベントのステージとしても利用することが可能である。

 作品の設置について、次の5つの場所を候補として思い描いている。

1  展望のよいスキー場やキャンプ場の斜面にデッキを特設して設置する。

2  道路に付設されているトイレ休憩所などの駐車場の谷側にデッキを付設しその上に設置する。

3 道路の拡幅で駐車ができる遊休地となった古い道路の面につなげる形で デッキをその下の休耕田などの方向に延長させ本体を設置する。

4 斜面に平地を作り建立されている空家の前庭の面の延長上にデッキを付設して設置する。

5 空家の部屋から鑑賞できるように前庭をより平らに整備してその上に設置する。

作品完成のイメージ(合成写真)


過去作例,1

(続く)