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福島民報より

「いつ」「どこへ」不安と不満 説明会で怒号「誠意ない」 
 政府が計画的避難区域に指定する方針を示した福島県飯舘村と川俣町山木屋地区で16日開かれた説明会。福山哲郎官房副長官は「最大限の努力をする」と何度も何度も繰り返した。ただ、補償内容や避難場所、避難期間など詳細な内容はいまだ不透明。住民からは計画避難への不安や政府への不満の声が噴出した。
 飯舘村の飯舘中のホールで開かれた説明会。「乳牛の全頭買い上げで補償してくれなければ、村を離れられない」。意見交換に入ると、県酪農業協同組合飯舘支部長の長谷川健一さん(58)が切り出した。
 村内では放射線測定で問題がない生乳までもが業者から出荷を断られる状況が続く。「牛がいてこそ子どもを育てられ、家も建てられた…。廃業するしかない」と声を荒げた。
 「汚染された土壌を国家プロジェクトで何とかしろ」…。早く村に戻れるよう対策を求める要望も相次いだ。花卉(かき)農家の赤石沢忠則さん(50)は「必ず村に戻るという希望は捨てていない」と、農業の信頼回復に向けた方策や営農指針を国が責任を持って示すよう詰め寄った。
 唐突に計画的避難区域の指定方針を示した政府対応に苦言を呈する意見も。村農業委員会長の菅野宗夫さん(60)は「政府は村民の心を置き去りにしている。誠意が見えない。心のこもった説明が必要だ」と不満をぶつけた。
 福山副長官は避難先の仮設住宅が用意できるまでの期間、一時的に遠方の地域への避難の可能性もあると示唆。菅野典雄村長は「避難の精神的、肉体的、経済的苦痛への理解が国に足りない」と反発し、「最大限の努力という言葉だけではだめだ」とくぎを刺した。
 村内の農商工や福祉など各界の代表ら約150人を前に、最後まで正座を崩さず、時に顔を紅潮させながら臨んだ福山副長官。終始、「どうか理解してほしい」と懇願の言葉を繰り返した。
 最後に男性の1人が司会の進行を遮り、「地域を守るため、自分は避難するつもりはない。罰則規定はあるのか」と言い寄ると、「ありません」とだけ答えた。
 冒頭、福山副長官の説明が終わった段階で、政府方針で村が報道陣を退出させようとすると、会場から「こういうことはオープンでやれよ」「生の声を聞いてもらえ」と怒号が飛び、急きょ、すべて公開されることが決まる一幕もあった。
【写真】説明会で不安を訴える飯舘村民=16日午後3時30分ごろ、飯舘中
(2011/04/17 10:40)