Art Site Horikawa-I

書くことを積み上げ、アート生成に向けての発想・構想力を鍛える。

時差ニュース(東京都美術館作品撤去ニュース)

本日の朝日新聞の投書の記事で東京都美術館で作品撤去を強要されたという事件があった事を知りました。被害を受けた作家の中垣克久さんは新潟大学の芸能科の彫刻専攻コースで学ばれた方で2学年先輩に当たる方(私は洋画専攻)です。このような問題の当事者になられたことに驚き、またそのストレートなアート・メッセージに感動しました。
以下コピペです。
靖国参拝批判の作品、撤去要求 東京都美術館
2014年2月19日07時50分朝日デジタル
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 東京都美術館台東区)で開催中の現代日本彫刻作家展で、安倍政権の靖国参拝などを批判した作品の撤去を同館が求めていた。主催者は「表現の自由を侵害する」と反発したが、同館は「政治的な宣伝という苦情が出かねない」とし、協議の末に作品の一部が削除された。

 作家展は15〜21日、約60点を展示。同館が指摘したのは、主催した現代日本彫刻作家連盟の中垣克久代表の「時代(とき)の肖像―絶滅危惧種 idiot JAPONICA円墳―」。高さ1・5メートルのドーム状の形で、作品として「憲法九条を守り、靖国神社参拝の愚を認め、現政権の右傾化を阻止して、もっと知的な思慮深い政治を求めよう」と手書きの紙を貼っていた。

 館の運営要綱では、「政治活動をするためのものと認められるとき」は、施設使用を認めないと定めている。同館は16日、中垣さんに撤去を求め、「折り合いがつかなければ、展示会の中止や来年度以降の施設使用の見直しも検討せざるをえなくなる」と伝えた。

 協議の末、手書きの紙を削除した中垣さんは「作家として思いを表現した。言論規制につながる怖さを感じる」と話す。同館は都が都歴史文化財団に運営を委託しており、財団の担当学芸員は「『靖国神社参拝の愚』と『現政権の右傾化を阻止』が政治活動にあたる恐れがあると判断した」と説明する。

 都文化施設担当課の高橋伸子課長は「都主催の事業でないので関知しない」とした。(中村真理


「政治的」作品撤去を 都美術館「クレーム心配」

2014年2月19日東京新聞 朝刊


自分ではがした作品の一部の紙を手にする中垣克久さん=18日、東京・上野公園の東京都美術館で(淡路久喜撮影)

 東京都美術館(東京都台東区上野公園)で展示中の造形作品が政治的だとして、美術館側が作家に作品の撤去や手直しを求めていたことが分かった。作家は手直しに応じざるを得ず「表現の自由を侵す行為で、民主主義の危機だ」と強く反発している。 (大平樹)
 撤去を求められたのは、神奈川県海老名市の造形作家中垣克久さん(70)の作品「時代(とき)の肖像−絶滅危惧種」。竹を直径一・八メートル、高さ一・五メートルのドーム状に組み上げ、星条旗や日の丸をあしらった。特定秘密保護法の新聞の切り抜きや、「憲法九条を守り、靖国神社参拝の愚を認め、現政権の右傾化を阻止」などと書いた紙を貼り付けた。代表を務める「現代日本彫刻作家連盟」の定期展として十五日、都美術館地下のギャラリーに展示した。
 美術館の小室明子副館長が作品撤去を求めたのは翌十六日朝。都の運営要綱は「特定の政党・宗教を支持、または反対する場合は使用させないことができる」と定めており、靖国参拝への批判などが該当すると判断したという。中垣さんが自筆の紙を取り外したため、会期が終わる二十一日までの会場使用は認めたが、観客からの苦情があれば撤去を求める方針という。
 美術館は東京都歴史文化財団が都の指定管理者として運営。小室副館長は取材に「こういう考えを美術館として認めるのか、とクレームがつくことが心配だった」と話す。定期展は今回で七回目だが、来年以降、内容によっては使用許可を出さないことも検討するという。
 中垣さんは音楽を題材にした彫刻で知られ、一九八六年に第一回ロダン大賞を受賞。出身の岐阜県飛騨市の市庭園美術館には彫刻二十体余りが常設展示されている。今回の都美術館からの撤去要請を「長年の創作活動で初めて。自分の作品を改変するのは、身を切るようにつらいことだ。あまりに暴力的な物言いで驚いている」と語った。
表現の自由を抑圧
 表現の自由に詳しい田島泰彦上智大学教授の話 芸術作品は表現物で、作者ごとに異なる主張を伝えるのは当然だ。会場の使用権を持つ美術館側が、立場の弱い作者に撤去や改変を迫るのは、表現の自由の根幹部分を抑圧している。従軍慰安婦を題材とした写真展が会場使用を拒否されたように、異論が出そうだから展示させないという対応は、全国的に広がっているのではないか。


2014年2月20日(木)赤旗
靖国参拝批判の作品 撤去要求

東京都美術館 「政治的メッセージ」

作者 「表現の自由侵す」


 「表現の自由を侵す。言論規制につながる」―。現代日本彫刻作家連盟の中垣克久代表(70)は悔しさをにじませました。東京都美術館台東区上野公園)で開催中の現代日本彫刻作家展で、同氏の作品の一部が「直接的な政治的メッセージにあたる」として、同美術館側から作品の撤去を求められたからです。中垣氏の作品だけではなく、同美術館は一昨年より2度にわたって「従軍慰安婦」をめぐる作品の取り外しを求めてきたことも明らかにしました。

(写真)中垣克久氏と作品「時代の肖像」=19日、東京都美術館
 中垣氏の作品は「時代の肖像―絶滅危惧種 idiot JAPONICA円墳―」。高さ1・5メートルのドーム状で頂上に日の丸、床には星条旗が敷かれています。秘密保護法を批判した切り抜きや、「日本は今病の中にある」などの紙が貼り付けられています。

 問題が起きたのは展示2日目、16日の日曜日。小室明子副館長が作品の撤去を求めに来ました。「文言が『館』にふさわしくない」という理由でした。

 文言とは作品の一部として貼られていたB4ほどの紙に手書きで縦に「憲法九条を守り、靖国神社参拝の愚を認め、現政権の右傾化を阻止して、もっと知的な思慮深い政治を求めよう…」と赤字で書かれていたもの。

 中垣氏によると「撤去しない」というと「撤去しないなら字を消してくれ」「消しません」と1時間ほど押し問答が続きました。最後に「『憲法九条』『靖国神社』の2カ所を部分的に消してくれ」といわれ、中垣氏は「不本意ながら紙を取ってその場を収めた」といいます。

 同美術館側の主張の根拠は都の運営要綱にあります。「特定の政党・宗教を支持、または反対する場合は使用させないことができる」と定めています。同美術館は「文書の全体が具体的な政治的主張だ。いろんなお客さんが見ると、『アジビラ』と思う人もいる。直接的な政治的メッセージと見られる」と話します。

 なぜこの点に固執するのか…。同美術館によると発端は一昨年前。「従軍慰安婦」をテーマにした作品で「政府は補償すべきだ」などの表現に、お客から「不愉快だ。公立の美術館で一方的な展示はやめるべきだ」とクレームがつきました。以来、同館は賛否の分かれるテーマで、直接的な主張が盛り込まれた作品については「確認」するようになったといいます。昨年も「従軍慰安婦」をテーマにした作品の取り外しを提起しています。

 同美術館を運営する東京都歴史文化財団は「都民の税金で運営しており政治的主張をする場ではない」。都生活文化局は「美術館は美術を鑑賞する場であり、政治的アピールをする場ではない」と本紙の取材に答えました。

東京都美術館が作品撤去を要請 靖国参拝を批判
47news

 東京都美術館に展示中の「時代の肖像」。美術館からの要請で手直しさせられた=19日午後、東京・上野

 東京・上野の東京都美術館3 件で開催中の「現代日本彫刻作家展」で、安倍晋三首相らの靖国神社参拝などを批判した作品の撤去を、美術館が作者の造形作家中垣克久さんに要請し、中垣さんが作品の一部を手直ししていたことが19日、分かった。

 中垣さんは「憲法九条を守り、靖国神社参拝の愚を認め、現政権の右傾化を阻止」などと自筆で書いた紙を、作品「時代の肖像」に貼っていた。美術館は初日の15日から展示していたが、16日に中垣さんに撤去を要請。中垣さんが自筆の紙を取り外したため、展示継続を認めたという